自閉症向けの遊具をDIYするなら、まず「自閉症の子ども全員に合う遊具」を作ろうとせず、その子が何を楽しみ、何に困っているかに合わせて設計します。最初に作るなら、触る・押す・回すなどの感覚遊びができ、壊れても大きな事故につながりにくい「感覚遊びボード」や「落ち着けるコーナー」が向いています。
一方、高さのある登り台、ブランコ、吊り下げ遊具は、転落や部品の外れによる事故につながるため、DIYでは慎重な判断が必要です。構造の安全性を確認できない場合は、市販の安全基準に配慮された製品を選ぶほうが適しています。
自閉症向けの遊具は、子どもの目的から決める
自閉症の特性や感覚の感じ方には個人差があります。音や光を強く感じる子もいれば、体を動かす刺激や触覚刺激を求める子もいるため、「自閉症向け」という分類だけで遊具を決めることはできません。
まず、遊具で何を助けたいのかを一つに絞ります。
- 手を動かす遊びを増やしたい
- 押す、引く、回すなどの感覚を楽しませたい
- 体を動かす場所を作りたい
- 刺激が多いときに落ち着ける場所を作りたい
- 遊びの始まりや終わりを分かりやすくしたい
たとえば、触る遊びを好む子には凹凸や異なる布を使ったボード、体を動かしたい子には床に置くクッションや低い障害物、刺激を避けたい子には照明や音を抑えた小さなスペースが候補になります。
初めてのDIYには感覚遊びボードが作りやすい
感覚遊びボードは、板に異なる素材や動かせる部品を取り付ける遊具です。床置きでも壁付けでも作れますが、最初は倒れても大きなけがになりにくい床置き型にすると確認しやすくなります。
用意するものの例
- 角を丸く加工した木板、または厚みのある樹脂板
- 短い毛足の布、フェルト、人工芝などの触感が異なる素材
- 大きめの歯車や回転部品
- 面ファスナー、太めのひも、押すと動く部品
- 皿頭のねじや、部品を固定するための接着剤
- 保護用のマット
素材は、子どもが普段好むものや、触ると避けるものを観察して選びます。嫌がる素材を無理に触らせるのではなく、取り外したり交換したりできる構造にすると調整しやすくなります。
作る手順
- 子どもが座った状態でも手が届きやすい大きさと高さを決めます。
- 板の角と切断面を削り、手で触って引っかかりがない状態にします。
- 素材や部品を仮置きし、子どもが触る順番や手の動きを妨げない配置にします。
- 部品をねじや接着剤で固定します。ねじの頭が飛び出していないか確認します。
- 板が倒れたり滑ったりしないよう、底面に滑り止めを付けます。
- 大人が引っ張ったり押したりして、部品が外れないか確認します。
- 最初は大人がそばで短時間使い、子どもの反応を見ながら部品を増減します。
安全のために避けたい部品と構造
DIY遊具では、楽しく見える部品でも、外れたときや巻き付いたときに危険になることがあります。次のようなものは、特に慎重に扱ってください。
- 飲み込める大きさのボタン、ビーズ、磁石、電池
- 首や指に巻き付く長いひもやゴム
- 割れやすいガラス、尖った金属、鋭いフック
- 強い光を点滅させる部品や、大きな音を出す部品
- 簡単に外れるキャップや小さなふた
- 指や服が挟まるすき間
特に磁石やボタン電池は、誤飲すると重大な事故につながるおそれがあります。口に物を入れることがある子どもが使う場合は、部品の大きさだけで判断せず、使用中も大人が見守ります。
体を動かす遊具は、低くしても安全確認が必要
クッション、マット、低い段差、床に置く輪などは、比較的取り入れやすい遊具です。ただし、低い遊具でも、転倒、衝突、滑り、家具への接触が起こります。周囲に硬い家具や角のある物を置かず、床面の滑りやすさも確認してください。
ブランコ、ハンモック、ロープ遊具、吊り下げ式のトランポリン、登り台などは、支柱や天井、固定金具に大きな力がかかります。DIYで作る場合は、材料の強度、固定方法、設置場所、使用者の体重や動きまで確認しなければなりません。少しでも判断できない場合は、自作せず、専門業者に相談するか市販品を選びます。
落ち着けるコーナーを作る方法
遊具ではなく、刺激を減らして休める場所が役立つ子どももいます。小さなテント、背もたれのあるクッション、洗濯できるマットなどを使い、出入りをふさがない場所に設置します。
中に入ることを強制せず、本人が自分で出られる状態にしてください。照明、音、におい、布の感触など、嫌がる刺激がないかを確認し、重い物や倒れやすい物を上部に置かないことも大切です。
完成後は「使えたか」より反応を確認する
DIY遊具は、完成したら終わりではありません。最初の使用時には、次の点を観察します。
- 近づく、触る、離れるなどの反応があるか
- 音や素材に驚いたり、強く嫌がったりしていないか
- 興奮しすぎたり、疲れたりしていないか
- 部品を口に入れたり、強く引っ張ったりしていないか
- 遊具の周辺で転倒や衝突が起きていないか
嫌がる場合は「慣れれば使える」と考えて無理に続けず、部品を外す、刺激を弱める、使う時間を短くするなど調整します。作業療法士などに相談できる場合は、子どもの感覚や運動面の特徴に合う遊び方を確認すると、より安全に設計しやすくなります。
自閉症向けの遊具DIYでは、目的を一つに絞り、低リスクの構造から始めることが基本です。感覚遊びボードや落ち着けるコーナーなら調整しやすい一方、吊り下げ遊具や高所の遊具は安全性を確認できる場合に限り、難しい場合は市販品や専門家の助言を選びます。







